12. 100℃以上の温度におけるコンニャクに対する塩化ナトリウムの分配係数の測定

100℃以上における食品への調味成分の浸透量を測定するため,食品を調味液に保持した状態で高温に保持する装置を製作した.製作した装置は,耐圧性のあるステンレスタンクをアルミブロックで覆い,カートリッジヒータを用いて加熱するものである.タンク内部の液温は温度計を挿入して測定し,さらにガス負荷口と圧力計を設置することにより,タンク内圧を0.40 MPa以下に調節が可能である.本装置を用いて,コンニャクに対する塩化ナトリウムの分配係数を100℃で測定したところ,約0.55 mL/gであり,100℃に維持した水浴を用いて測定された値ともよく一致した.浸漬前の重量基準で算出した分配係数は高温ほど低下した.一方で,浸漬後の重量基準で算出した分配係数は30℃,100℃,120℃でほぼ同じだった.また,30℃,100℃,120℃における分配係数の圧力依存性を測定したところ,0.40 MPa以下ではほとんど同じとみなせた.

著者
謝 裕基
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 33, 85-88 (2020)