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主成分分析を用いたネギ類外皮に含まれるα-グルコシダーゼ阻害活性分子の探索

背景・目的

食品は多くの成分を含む複雑系であり、含まれている成分の同定やその変化を追うのは多くの場合困難です。主成分分析とは統計解析手法の一つであり、多くの成分の挙動を総合的に評価できることから、昨今食品分野においては変動成分や機能性成分の探索などに用いられることが多くなっています(図1)。本研究では、糖尿病予防への貢献が期待されるα-グルコシダーゼ(αG)阻害活性分子を探索することを目的として、ネギ類外皮の熱水抽出液について、αG阻害活性試験ならびに液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)による分析を行い、主成分分析を用いて阻害活性成分の探索を試みました。

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図1 主成分分析概要

実験方法

8種のネギ類外皮(タマネギ、ペコロス、アーリーレッド、エシャロット、ニンニク、シマラッキョウの外皮、シマラッキョウの内皮、新タマネギ)について10mg/1.0mlで熱水抽出液(80℃で30分)を調製し、抽出液をαG阻害活性試験ならびにLC/MS(三連四重極型)分析に供しました。得られたベースピークイオンクロマトグラム(BPC)を主成分分析に供し、阻害活性試験結果との比較から阻害活性候補分子を抽出しました。LC/q-TOFMS(四重極-飛行時間型)分析により候補分子の組成式を推定すると共に、物質同定のための各種分析を行い、同定された分子について改めてαG阻害活性試験を行いました。

結果・考察

8種のネギ類外皮熱水抽出液の内、ニンニク、シマラッキョウの外皮・内皮以外のネギ類においてαG阻害活性が確認されました。主成分分析から、スコアプロットでαG阻害活性があるものとないもので群分けが確認され、ローディングプロットにより阻害活性候補成分を3つ見出すことができました(図2)。

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図2 ネギ属外皮熱水抽出液LC/MS

各種機器分析の結果から、3成分はケルセチン(Qu)、ケルセチン-4-O-グルコシド(Q4G)、ケルセチン-3,4-ジグルコシド(QDG)であることが明らかとなり、これらの物質についてαG阻害活性試験を行ったところ、Qu、Q4Gの二つにαG阻害活性を確認しました。Quは既報のαG阻害活性分子ですが、Q4G、QDGに関しては報告がなく、新しい知見を得ることができました。

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