長期保存したタマネギ外皮抽出液の脱顆粒抑制効果の低下原因の解明

背景・目的

 これまでに我々は、培養細胞を使って30種類以上の抗アレルギー食品の脱顆粒抑制効果(図1)を調べ 、タマネギ外皮抽出液が特に強い効果を示すことを見出しました。しかし、長期間冷蔵保存したタマネギ外皮抽出液では、脱顆粒抑制効果の低下が確認されました。本研究では、低下に関わる成分の同定と保存時の挙動を明らかにすることで、この原因を解明しました。併せて効果が保持される保存条件についても検討しました。
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図1 脱顆粒抑制試験の概略
細胞から放出された炎症物質の放出率で各食品の脱顆粒抑制効果を評価
※脱顆粒...アレルギー症状を引き起こす炎症細胞(好塩基球など)が、抗原による刺激を受け炎症物質を放出する反応

方法・結果

 タマネギ外皮粉末を80℃の熱水で抽出し、抽出液を調製しました。調製直後の抽出液に比べ、長期間冷蔵保存した抽出液の脱顆粒抑制効果は有意に低下しました(図2A)。これら2つの抽出液の成分をLC/MSで比較したところ、抗酸化作用や抗炎症作用を有するケルセチン量に差はありませんでした。しかし、保存後の抽出液では分子量318の化合物が減少していました。この化合物を単離しNMRで構造を調べたところ、ベンジフラノンと同定されました(図2B)。保存後の抽出液にベンジフラノンを添加したところ、効果の回復傾向が確認されました。以上の結果から、ベンジフラノンは脱顆粒抑制効果に寄与しており、ベンジフラノンの減少が脱顆粒抑制効果の低下の原因であると考えられました。

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図2 長期保存による脱顆粒抑制効果の低下と減少した成分
A 調製直後の抽出液と保存後の抽出液の脱顆粒抑制効果の比較
対照区の放出量を100%とし、相対放出率を算出
B ベンジフラノンの構造

ベンジフラノンは、その構造から酸化分解により減少している可能性が高いと考えられたため、タマネギ外皮抽出液に酸化防止剤(アスコルビン酸)を添加し、保存試験を行いました。その結果、アスコルビン酸を添加し冷凍保存した抽出液では、ベンジフラノンの減少が大きく緩和されることがわかりました(図3A)。また、この条件で保存した抽出液は、保存前と比較し脱顆粒抑制効果が維持 されていました(図3B)。以上の結果から、ベンジフラノンの減少を緩和することで、脱顆粒抑制効果の低下を防止できることが示唆されました。また、本研究により、タマネギ外皮中のベンジフラノンが脱顆粒抑制成分であることを新たに見出しました。

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図3 保存条件の違いによる抽出液のベンジフラノン残存率と脱顆粒抑制効果
A 各条件で保存した抽出液中のベンジフラノン残存率
  調製直後の含有量を100%とし、残存率を算出
B 各条件で1週間保存した抽出液の脱顆粒抑制効果

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