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水耕栽培における植物生長促進根圏細菌の利用

背景・目的

植物工場での水耕栽培は、天候に左右されずに周年栽培できるだけでなく、栽培環境の制御により栄養成分の含量を増加させるといったことが可能になりつつありますが、空調などの生産コストが高く、採算性が低いことが課題となっています。

私たちの研究では、植物生長促進作用などの効果が認められている植物生長促進根圏細菌(Plant Growth Promoting Rhizobacteria:PGPR)を用い、採算性の改善につながる生産性の向上を試みています。これまでに、自然界より分離したPGPR菌株は、水耕栽培において葉菜類であるミツバやサニーレタスに生長促進効果を示しました(関連記事)。今回は、葉菜類の新たな栽培対象を拡充するとともに,植物工場での実栽培を想定した方式の水耕栽培における生長促進効果を検証しました。

結果

ミツバおよびサニーレタスに対して高い生長促進効果を示した菌株を用い、新たな栽培対象としてフリルレタス、フリルアイスレタス、ホウレンソウ、クレソンおよびルッコラといった葉菜類を用いて水耕栽培を行いました。その結果、供試した全ての葉菜類で生長促進効果が見られ、特にクレソンで高い生長促進効果が得られました(表1)。

植物工場の実栽培を想定した栽培方式(水耕液の増量、およびpH・電気伝導度制御)における生長促進効果について、フリルアイスレタスを用いて検証しました(図1)。収穫重量を80 g-100 gとした場合、栽培日数が最大で4日短縮可能となったことから、実生産におけるPGPRの効果が期待されました.

今後は栄養成分などの含量に対する影響についても検証するとともに、栽培対象の更なる拡充とPGPRの最適な使用方法の検討やメカニズムの解明などに取り組みます。

表1 クレソンに対する生長促進効果

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2017-PGPR-fig1.png2017-PGPR-fig2.png

栽培槽:循環式水耕栽培棚、容量約200 L
水耕液:大塚化学A処方、pH6.0、電気伝導度1.6
光量子束密度:蛍光灯、280 μmol・m-2・s-1
20℃(明所)16時間、15℃(暗所)8時間、
湿度およそ50%RH

図1. 実生産を想定した栽培環境でのフリルアイスレタスに対する生長促進効果

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