3.缶詰トマトジュース ビタミン含有量、色及び風味に及ぼす缶の上部空隙量及び内面塗料の影響について

本研究は京都大学教授農学博士松木熊市氏を班長として組織された天然果汁研究班の事業の一端として行っている。 缶詰トマトジュースのビタミンC含有量、色及び風味に対して缶並びに上部空隙の与える影響に関し、約2年間貯蔵した試験品を測定し、4品種中3品種について以下の様な結果を得た。

1.平均ビタミンC含有量には、白缶(無地缶)と塗料缶との間において有意差が見られる。

2.平均ビタミンC含有量は、上部空隙量によって有意差がある。

3.缶種と上部空隙との問には交互作用が認められる。

4.ビタミンCの保全上塗料缶は白缶(無地缶)に比して劣っている。特に上部空隙量の大きいものにおいて、その差が顕著である。

5.トマト色素のベンゾール抽出液の透光率を以て比較した結果 では、缶種や上部空隙の影響について判然とした結果が得ら れなかった。

6.今回試用の塗料被膜はトマトジュースに若干苦味を付与する 事が認められた。

著者
志賀 岩雄、黛 乙郎、木村 圭一
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,3,28-43(1954)

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