12.筍缶詰の白濁に関する研究

筍缶詰において一般に白濁といわれるものは、缶詰内の液汁が白く濁ってくるのであるが、風味等には変化がなく、勿論筍自体は正常な状態を保って居り変敗とは関係がない。白濁の著しいものは液汁中に豆腐の崩れた様なゲル状の白濁物が一面に生じてくる。このような状態は筍中のチロシンと言われているが、我々もこの析出物いついて研究を行ってみた。

1.白濁缶詰(2号缶)中の白濁物質の量は0.16〜0.67gであった。

2.白濁しない缶詰の筍の表面に霜降り状に固着した白色物質中には、乾物中85〜90%のチロシンが存在した。また筍缶詰液汁中に溶解するチロシンは白濁に係わらず0.08〜0.12%であった。

3.白濁物質中には平均60%のチロシンがあるが窒素量においてはチロシンの窒素量より総窒素の方が平均2%多い。

4.ペーパークロマトグラフィーにより筍缶詰液汁及び白濁物質中の遊離アミノ酸と糖類を検索した。

著者
鈴木 保治、三島 公子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,96-105(1956)

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