10.筍缶詰の白濁と結晶性析出物に関する研究(第一報)

筍缶詰に出現する顕著な白濁原因ははっきり分かっていない。筍から白濁原因成分を充分洗い流す目的で水晒を長時間(48時間以上)実施することが唯一の白濁防止法として推奨されている。水晒に代わる処理を検討する上で、取敢えず水晒を行なわない場合はどうなるか。またボイル時間を長くことが効果的であるという推論から、製造過程に再度検討を加えることとした。

1.水晒を行なわないで生筍のボイル方法や時間だけを変えた場合は、生詰又はボイルが短いと幾分白色固着性の析出物が出るが液汁は濁りがないこと、40〜60分では殆ど析出物もなく実しい状態であることを認めた。

2.筍を充分煮る(白濁原因成分を煮出す)為。輪切して60分煮た場合は、析出物の溶出や液汁の濁りが発生し、ボイルほ煮過ぎてはいけなく、適当なボイル時間があるものと考えた。

3.各地のパッカーから求めた資料によって、24時間位なら水晒はしてもしなくても白濁には影響がないことが判った。

4.筍に出現した析出物は加熱によって容易に溶解し著大な白濁も沸点で30分も加熱すれば解消することが判った。一端溶かしたら約一カ年間位は白濁にならない。従って製造後20日位の間に再加熱する白濁防止法も有効と考えられたが、2年目には白濁していたので再加熱が決定的な白濁防止策とはならない。

著者
澤山 善二郎、長渡 和子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,76-84(1956)
昭和29年3月缶詰技術研究会講演 於 滋賀短大

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