9.アサリ(Venerupis semidecusata. Deshayes)の食品化学的研究(第3報)
アサリの有機酸について

アサリの有機酸について研究をしたので以下にその結果を報告 する。

1.生アサリの有機酸をぺ-パークロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって定性、定量を行なった結果、生アサリにはプロビオン酸、酸、ギ酸,ピルビン酸、コハク酸、乳酸,リンゴ酸、クエン酸、酒石酸の九種類の有機酸の存在を確認した。それぞれを定量した結果、有機酸のうち約76%がコハク酸であることが証明された。

2.缶詰にしたアサリの有機酸について定量を行なったところ生のものに比べて肉部の全有機酸は1/5に減少した。116℃、100分の加熱によって各有機酸は分解しないから、それは蒸煮ムキ身 を作る際の逸出と蒸煮ムキ身の殺菌加熱による筋肉収縮に伴う 減少に原因するものである。

著者
長田 博光、岡屋 忠治
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,54-59(1963)

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