30.清酒醸造工程中の核酸系成分および関連酵素系について
(第1報)清酒麹の核酸系成分および関連酵素系について

製麹中の核酸系成分と核酸分解酵素との経時的変化を調べ、また製麹中の気体成分の影響を受けるかについても検討した。

1)製麹工程中のリン成分、核酸分解酵素活性の経時変化を検討し、かつ麹物料を囲む気体成分の影響を調べ、つぎの結果を得た。

2)全リンは変化なく、RNAリンも余り変化しないが、酸可溶性リンは次第に増加した。

3)核酸成分は核酸塩基、ヌクレオシドが主体で次第に増加し、ATP、ADPは減少、UMP、IMPは40時間目頃に最高となった。

4)核酸分解酵素の活性は時間とともに次節に増加した。

5)麹物料付近の気体成分に二酸化炭素が多い状態では核酸分解酵素活性が弱くなる傾向を示し、また核酸系成分、とくに塩基成分の生成が少ない傾向を示した。

著者
毛利 威徳、足立 有、柏原 純
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,185-195(1971)

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