31.清酒醸造工程中の核酸系成分および関連酵素系について
(第2報)清酒麹の核酸分解酵素の性質について

1)清酒麹の核酸分解酵素の牲質を調べ、つぎの結果を得た。

2)粗酵素液の抽出方法を吟味し、麹試料の2倍量の水とともに5℃で磨砕して1時間抽出したろ液は粗酵素液として使用できる。

3)粗酵素液の最適pHはRNaseは4.0〜5.0、PDase活性は4.0〜5.0、PMase活性は4.0〜5.0の範囲にあり、また5′-AMP、3′-AMPを基質としたとき、活性の至適pHは5.0〜6.0の範囲にあることを認めた。

4)RNase、PDase活性の最適温度はともに50℃〜60℃、PMaseのそれは45℃〜55℃の間にあることを知った。

5)熱安定性についてはRNaseでは100℃10分処理で、なお約50%の活性が残るが、PDaseは60℃10分で40%以下となり、85℃10分ではほとんど失活した。PMaseはさらに不安定で60℃10分でほとんど失活するのを認めた。

6)RNase活性はCu++、Zn++により阻害され、PDase、PMaseはEDTAによりいくらか活性化され、NaF、,Na2HPO4に阻害された。

7)酵母RNAを基質として作用せしめた場合ヌクレオチドとしては3′-GMPを主体として生成する。またATPを基質とすると5′-AMP、5′-IMPを主体として生成し、5′-AMPを基質としたときは5′-IMP とヒポキサンチンを生成した。

著者
毛利 威徳、足立 有、柏原 純
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,196-202(1971)

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