6.硫化黒変に関する研究-Ⅱ
トマト果実中の腐食因子について

トマト果実の缶内面腐食因子を検索するためにトマト果実の遊離アミノ酸から検討した.その結果,その遊離アミノ酸としては,グルタミン酸が最も多く,次いでスレオニン,セリンが多く含まれていた.一方,シスチンは含まれていなかった.

腐食因子はトマト果実のエキス中に含まれおり,それは陽イオン交換樹脂(H+)に吸着されず,陰イオン交換樹脂(OH-)に吸着される酸性区分に存在していて,エーテルには不溶性であった.この酸性区分を部分加水分解するとグルタミン酸,酒石酸およびクエン酸を多量検出した.

著者
竹内 伊公子、前淵 絹子、長田 博光
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,11,39-47(1974)