3.硫化黒変に関する研究 - V トマト果実中の腐食因子について(その2)

トマト果実の腐食因子区,A-2-2をシリカゲルカラムを用いて,クロロホルム-ブタノール溶出区(a区)とメタノール溶出(b区)に分け,両者のアミノ酸,有機酸組成を調べた.アミノ酸としては,両者とも少量のグルタミン酸と数種の少量のアミノ酸が検出された.有機酸としては,a区ではプロピオン酸,フマール酸,コハク酸,ピログルタミン酸が,b区ではフマール酸,コハク酸,クエン酸,リンゴ酸,ピログルタミ酸が倹出された.a,b区を加水分解すると多量のグルタミン酸が検出され,一方,ピログルタミン酸は完全に消失した.腐食因子の大部分はb区に集まり,この区分は硫化黒変を伴う著しい腐食性を有していた.

著者
長田 博光、竹内伊公子、下 富代
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,13,13-17(1978)

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