16.最近のみかん缶詰の膨脹変敗について

みかん缶詰の膨脹変敗缶より,グラム陽性,桿菌,胞子形成,通性嫌気性,および,カタラーゼ陰性のSporolactobacillus属に属する種と思われる細菌を分離した.

分離菌洙の胞子の90℃での加熱致死時間は35〜55分であった.変敗缶中の乳酸量は正常缶中のそれよりも10〜30倍多く,また,分離菌株はPE-2GC培地中で増殖した場合,培地中の乳酸を10倍以上に増加した.したがって,分離菌株は当変敗原因菌と考えられた.

分離菌株の増殖は,通常のみかん缶詰のpH3.3〜3.6,クエン酸濃度0.6〜0.7%の範囲を含む,pH約2.5以上クエン酸濃度の0.4%以上でみられたが,発芽および発芽後成育はpH3.5以下ではみられなかった.したがって,通常のみかん缶詰の殺菌に耐えうる当変敗菌胞子の発芽または発芽後成育を,製品のpHを3.5以下に調整することにより阻害し,商業的無菌性を保つことが,当変敗防止の一対策となろう.

著者
中山 昭彦、新屋 理恵子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,15,112-119(1983)

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