20.Bacillus coagulansの胞子に関する研究 -Ⅲ耐熱性に及ぼすpHと胞子濃度の影響

胞子の耐熱性は初期胞子数によって大きく影響される.本報はpH5.5以下の場合についてpHと初期胞子数がB.coagulansの胞子の耐熱性に如何に影響を及ぼすかを検討した.

加熱損傷を受けていない胞子の培養温度はpHが5.5以上であれば55℃が適温であるが,pHが低い場合には至適温度は低くなる.従って缶詰の貯蔵試験でB. coagulansを対象にした場合には35℃で行なうのが最適と考えられる.

胞子の耐熱性に及ぼすpHと初期胞子数の関係を数値的に表わすことは難しいが,大体,pHが0.2上がったときの耐熱性と初期胞子数が10倍になったときの耐熱性がほぼ一致する.

著者
池上 義昭、橋本 京子、大田 智子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,15,137-142(1983)

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