3.豆類のドライパック缶詰製造法について

豆類の新しい加工法として,水や調味液をいっさい加えないドライパック缶詰の製造法について検討した.大豆,黒豆,金時豆,うずら豆,虎豆及び大福豆は20℃で15時間,小豆は20℃で24時間水戻しした.加熱処理によって缶詰の豆は軟らかくなり,色調も良くなった.また,ガスの生成も抑製された.加熱処理液にフマール酸モノナトリウムを添加することにより,缶詰の硫化水素臭は抑制できた.黒豆は水戻し液に硫酸第一鉄を0.2%,小豆,金時豆及びうずら豆は加熱処理液にクエン酸を0.1%添加することにより,色調が良くなった.缶詰の殺菌はB.coagulansを対象にするため,F0=6以上を目標にする必要がある.そこで,大福豆を121℃31分,うずら豆と虎豆を121℃32分,大豆と小豆を121℃33分,黒豆を121℃35分及び金時豆を121℃40分殺菌した場合,F値はそれぞれ6.76,6.35,6.38,6.75,6.14,6.32及び6.80であった.以上の結果,豆類のドライパック缶詰の製造法を次のように確立した.乾燥豆を充分水戻しし,95℃で15分間加熱処理した後,果実7号缶に140g詰め,チャンバーバキューム70cmHgで巻締める.大豆,黒豆,うずら豆,虎豆及び大福豆は121℃で35分,金時豆は40分分間殺菌し,冷却する.

著者
森 大蔵、大熊 昌子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,18,19-27(1990)