2.イチゴの茎頂および植物体のin vitro保存

本研究は,組織培養によるイチゴ苗の長期保存方法を検討したものである.イチゴの茎項を25℃で前培養した後5℃暗条件下で30-360日間保存し,再び25℃明条件下で60日間培養した.その結果,保存期間が長くなるにつれシュートおよび不定根形成率は低下した.しかし,保存360日でも20〜30%程度の茎頂が順化可能な大きさにまで生長した.またイチゴ無菌幼苗を2%または0.2%蔗糖および種々の生長抑制物質(CCC,アンシミドールおよびABA)を加えたB5培地に植えつけ,25℃で培養したところ,0.2%蔗糖で顕著に生育が抑制されていたが,生長抑制物質はほとんど効果がなかった.

著者
後藤 隆子、宮崎 正則、奥 正和、佐藤 宏
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,19,9-14(1992)