1.蜜柑缶詰における電気メッキブリキ板と熔融メッキブリキ板との比較試験(Ⅰ)
高温貯蔵期間中の真空度の低下について

我国産缶詰最も生産額が多い、その上腐食の問題から懸念のある缶詰蜜柑に、どの程度に電気メッキブリキ板が利用され得るか、即ち全体的に、或は米国の所謂Composite canの樣に蓋底だけに限って使用出来るものかについて、知見を得るため、この研究を実施した。錫のメッキ量の少ないNo.50電気メッキブリキ板は、無塗装或いは蓋底に塗料を施しただけでは、缶詰の真空度の保続性から見て蜜柑缶詰用空缶として適当でない。缶の全面に塗料を施した場合でも、真空度の保続性の向上は認められたが、なお熔融メッキブリキ板には及ばなかった。

内面に塗料を施したNo.50電気メッキブリキ板製外蓋底を無塗装の熔融メッキブリキ板空缶に組合せたところ、Composite canにおいては、在来の蜜柑缶詰用空缶に比肩の出来る耐久性を期待することが可能であるという結果が得られた。

著者
志賀 岩雄、木村 圭一
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1-7(1956)

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