4.蜜柑缶詰における電気メッキブリキ板と熔融メッキブリキ板との比較試験(Ⅳ)
内容物の褐変色

一定期間の貯蔵後における缶の内面腐蝕の状態を量的に理解し、両種ブリキ板の耐蝕性を比較する為、本試験を実施した。

電気メッキブリキ板製空缶は無塗装缶及び蓋底塗装缶とも耐蝕性は著しく劣り、錫、鉄の溶出量も最大値を示した。電気メッキブリキ板の量的な錫の腐蝕速度が大きいことが今回の試験結果から認められた。

缶内全面にエナメル塗装することにより、全般的な錫の腐蝕阻止効果が認められ、ブリキ板の種類に係わらず錫の溶出量は最低値に止った。しかし電気メッキブリキ板の鉄溶出量が比較的高い数値を示したことは、エナメル皮膜の欠陥部での腐食の進行と思われ、水素膨張または穿孔缶の危険性が考えられた。

鉄及び錫の腐食量と真空度との関係について検討し、錫と鉄との腐食量に対応して、真空度低下の一般的傾向が認められたが、腐食量がある数値に達する迄は、真空度があまり低下しないことが観察され、その範囲内では発止した水素が被還元物によって消費された為であると考える。腐食溶出の鉄量と錫量とを比較してFe/Snなる比が内面塗装缶において高かったことは当然のことと考えられた。

著者
志賀 岩雄、木村 圭一
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,42-47(1956)

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