5.各種フィルムで包装された大豆油の酸化変質について-Ⅱ

各種プラスチック・フィルムで密封包装した大豆油を室温暗所および室温明所の外にふ卵器内(30℃、暗所)と電気冷蔵庫内(5℃、暗所)に保存して、過酸化物価とカルボニル価を測定して、フィルムを通して外から酸素が浸入して袋内の油をいかに酸化するかを調べ、これらをガラス封管に真空充填した油と対比してみた。

(ⅰ) 各種プラスチック・フィルムで空気を排除しながら密封包装した大豆油を室温暗所および冷蔵庫内に3カ月保存しても、油の過酸化物価もカルボニル価もほとんど増加しなかった。

(ⅱ) 室温明所またはやや高温(37℃)暗所におくと通気性の大なるポリエチレンとポリカーボネートで包装した油は過酸化物価もカルポニル価も著しく増大したフィルムを通って外から酸素が侵入したのである。しかしながら通気性の小なるポリ塩化ビニリデン・フィルムで包装した油は過酸化物価もカルボニル価もほとんど増加しなかった。フィルムを通して外から酸素が侵入できなかったためである。

(iii) この実験では大豆油の過酸化物価が大なるときはカルボニル価も大であった。

著者
松井 悦造、清水 義弘
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,31-37(1971)

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