19.貝類缶詰の緑変に関する研究-Ⅵ
缶詰あさり並びに煮熟したあわび内蔵の緑色色素について

生鮮時正常な色彩をしているあさりを缶詰にした場合季節によって、缶詰かきと同様に内蔵部が緑変し、貯蔵中にその緑色色素が外套膜に侵出し、貝全体が緑変することがあり、グリン・フィードと称して古くから問題になっている。また、あわびの内蔵を煮熟あるいは缶詰にした場合も緑変することが知られている。

しかしそれらの原因ならびに緑色色素についてはほとんど研究されていない。本報ではこれらの緑色色素がどのようなものであるかを知るために、それぞれの緑色色素を抽出分別し、その物理化学的性質を調べたので以下にその結果を報告する。

缶詰あさり並びに煮熟したあわび内蔵の緑色色素を缶詰かき並びにアオサの緑色色素の抽出法にしたがって分離精製した結果、両者ともに缶詰かきと同様に五つの緑色色素に分別できた。

これらの緑色色素の物理化学的性質は缶詰かきの緑色色素のそれとよく類似していることが認められた。

著者
長田 博光
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,117-125(1971)

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