8.各種プラスチック・フィルムで包装された果実野菜類の袋内ガス組成-Ⅰ オリーブ

著者らは果実の保存が目的ではなく,各種のプラスチック・フィルムの通気性,透湿性を測定し,これらのフィルムで作った袋にオリーブを入れ密封したとき,袋内の気体の成分比はどう変わるかを経時的に調べたので,報告する.
1.ポリエチレン・フィルムは通気性大,透湿性小であって,この袋にオリーブを密封したとき,袋内のガスはN2とO2とCO2との3者がほぼ一定の割合で混ざっていて,オリーブはO2を吸ってCO2を放出し,弱いながらも普通の呼吸をしていると思われた.また透湿性が小であるため,袋内の湿度が高く,カビが生えた.
 ポリカーボネートの袋も通気性がやや大であって,袋内のガスはやはりN2,O2,CO2の3成分であった.
2.アルミニウム箔ラミネートのフィルムは通気性も透湿性もほとんどゼロであって,これの袋にオリーブを密封包装すると,オリーブの呼吸のため袋内のO2は暫くのうちに無くなり,CO2が現れるが,その後はO2なしの状態にもかかわらずCO2が増え続ける.これは恐らくオリーブの体組織の1部が分解しつづけてCO2が排出されるためであろうと考えられる.しかるにされに長時間この状態で保存を続けるとH2が現れてきた.

著者
松井 悦造、清水 義弘
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,11,53-58(1974)