6.透明容器詰柑橘果汁における光劣化異臭に与えるクロロフィルとpHの影響

レモンやカボスなどの香酸柑橘果汁飲料において生じた急速に進行する光劣化異臭の生成機構を解明するため試験を行った.クロロフィル類の存在により光劣化異臭の生成が促進されたことより,クロロフィルが光増感物質として促進作用を示していることが分かった.クロロフィルの光増感作用は濃度依存性があり,柑橘果汁中にサブppm オーダーでも存在すると光劣化異臭生成リスクが高まると考えられた.酸性条件下でpHの影響を調べたところ,クロロフィルの光増感作用はpH依存性があり,強酸性領域でクロロフィルの光増感作用は強くなり,弱酸性領域では光増感作用は非常に弱いことを示した.以上のことから,柑橘果汁製品に透明容器を使用する場合,クロロフィルの混入をできるだけ避けることが望ましく,pHが低めに設定される製品ではクロロフィル濃度を減らす方法を検討しなければならない.また,クロロフィルが存在しても酸化に対して安定な領域も存在し,光劣化防止のためには柑橘果汁のpHを高くして保存することが有効であると認められた.以上より光劣化異臭を防止するために,製造時に果汁中のクロロフィル類の量とpH を厳格に管理することが求められる.

著者
奈賀 俊人、隅谷 栄伸
出典
東洋食品研究所 研究報告書,28,39-45(2010)

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