3.容器詰め飲料素材としてのイチジク茶の特性

イチジク(Ficus carica L.)葉を原料とするイチジク茶は,香りの良さが特徴である.近年様々な茶系飲料が登場しているが、イチジク茶を用いた容器詰め飲料は未だ無い。そこで、イチジク茶の容器詰め飲料素材としての可能性を検討した。

イチジク茶浸出液は,水色は薄い黄色,pH は中性で、甘い芳香を有していた.120℃以上の殺菌加熱により顕著に褐変するが,風味劣化や抗酸化能の低下はわずかであった.ビタミンC添加により褐変は抑制されたが,風味がわずかに変化した.

容器詰めイチジク茶のシェルフライフを調べるため,PETボトル詰めを試作した(ビタミンC を150 ppm 添加),4℃,28℃および55℃で6ヶ月間保存した.保存中には褐変,風味変化,抗酸化能の低下や抗酸化成分(ルチン,カフェリンゴ酸)の減少が進行した.保存温度が高いほど,これらの品質劣化は顕著であった.官能評価の結果から,PETボトル詰めイチジク茶のシェルフライフは常温で6ヶ月未満と考えられた.

以上より,容器詰めイチジク茶の商品化は可能なことが分かった.酸化防止技術の改良,特にガスバリヤ性の高い容器の使用により,品質およびシェルフライフを向上できると考えられる.

著者
高橋 徹、沖浦 文、阿部 竜也
出典
東洋食品研究所 研究報告書,28,17-26(2010)

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