12.動揺式殺菌における適正内容物粘度

常温流通可能な容器詰食品は,商業的無菌を確保するために,加熱処理されている.加熱により,食品の色とテクスチャーは変化し,そして味と栄養価は損なわれる.過剰な加熱とならないように,内容物を均一に撹拌し内容物の熱伝達を向上する技術として,動揺殺菌法が考案されている.動揺殺菌法には,回転,揺動,摺動があり,静置式に比べて殺菌時間を短くすることができる.

本報では,内容物がむらなく撹拌される上限粘度の検討結果を報告する.生物指標菌をスターチ液1.2 kg充填入りの平パウチ(200 ×300mm)に接種し,加熱処理後の生残度合で撹拌の不均一度を判定した.均一に撹拌される粘度の上限は,回転式10Pa・s,揺動式5.5Pa・s,摺動式(振動数60cpm)4.2Pa・s,同(振動数75cpm)11Pa・sであった.

著者
田口 憲人、高橋 英史
出典
東洋食品研究所 研究報告書,30,87-91(2014)