13.透明パウチ詰パイナップルの保存性について

果実詰容器としての透明パウチは,中身が見られることに利点を有するが,缶詰に比べ,バリア性が劣る.果実詰の透明パウチは褐変と軟化の問題を抱えている.本研究は,パイナップルパウチ詰の劣化関与因子および,保存限界の調査を目的とした.褐変はメイラード反応,軟化は不溶性ペクチンの水溶化が原因で,これら劣化は各々独立した反応系であった.褐変は温度,酸素,軟化は温度により促進された.透明パウチ詰パイナップルの賞味限界は,硬さよりも色調に依存した.低酸素条件における賞味限界は,20℃保存で9 ヶ月間であり,10℃以下での保存では,1 年以上となるが,容器内の酸素量が1 ml 増加する毎に20℃保存における賞味限界は約1 ヶ月間短くなる(果肉100 g,シラップ100 g を含むパイナップルパウチ詰の場合).透明パウチ詰の保存性を高めるためには,物理的酸素除去だけでなく,酸素吸収能を持つ容器を用いて酸素曝露量を最小にすることが重要である.

著者
井上 竜一、高橋 英史
出典
東洋食品研究所 研究報告書,30,93-99(2014)