植物生長促進細菌(PGPR)を用いた水耕栽培に関する研究

水耕栽培作物の収穫回数の増加や価値の向上を目的に、植物生長促進根圏細菌 (PGPR;Plant Growth Promoting Rhizobacteria)の水耕栽培への応用を検討している。
PGPRの第三者による評価をLED利用完全閉鎖型植物工場および太陽光利用ハウスで実施した結果、フリルレタスおよびホウレンソウを栽培し、わずかな新鮮重の増加が見られたが、明確な生長促進効果は確認されなかった。その理由を検討するために栽培品の根に付着した細菌の細菌叢を調査した。
16SリボソーマルRNA遺伝子を対象としたメタゲノム解析では、PGPR接種菌そのものは検出されなかったが、根の生態の多様性において、接種菌は定着して菌叢に影響したものと推察された。菌叢解析の結果は試験区間での差が大きく、接種による菌叢への影響には方向性は認められなかった。もとから存在する環境菌にPseudomonasなど植物に影響する細菌種が優占であり、PGPRの生長効果が環境汚染菌によりマスクされた可能性が示唆された。

平成30 (2018)年度実施

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