8.Moorella thermoacetica 芽胞の発芽誘起剤と発芽阻害

Moorella thermoaceticaは,加温販売低酸性飲料の変敗原因菌である.芽胞の耐熱性が非常に高く,低酸性飲料の加熱殺菌の指標菌である.発芽に関する情報はきわめて乏しい.M.thermoaceticaの新たな制御方法を開発するために,発芽誘起剤などの発芽機構に関する研究を行った.M. thermoaceticaの培地であるmTGC培地の8構成成分中の4成分,Trypticase peptone(カゼインペプトン),Phytone(大豆ペプトン),L-シスチン,チオグリコール酸ナトリウムが発芽に必須であることが分かった.その発芽必須成分のTrypticase peptone中の発芽誘起剤を探索し,L-セリンやL-アラニンが発芽誘起剤であることを見出した.そのアミノ酸の構造アナログ・誘導体による発芽阻害試験を行い,L-セリンのジペプチドやトリペプチドが発芽阻害することを見出した.

著者
青山 好男
出典
東洋食品研究所 研究報告書,30,55-61(2014)