21.植物オイルボディの物理的安定性を決定づける構造的・分子的要因の解明

2021年度研究助成 (2022年度研究実施)

植物の種子などの組織には、中性脂質がリン脂質や膜タンパク質に覆われた、オイルボディと呼ばれる油滴状の粒子が蓄積している。オイルボディが優れた物理的安定性を示すメカニズムについては、主にオレオシンの機能の観点から検討されてはいるものの、まだ十分には明らかではない。本研究では、オイルボディが優れた物理的安定性を有する構造的・分子的要因を明らかにすることを目指し、複数の植物から単離したオイルボディの温度依存的な変化について検討した。アーモンド種子から調製したオイルボディは、一部、種子貯蔵タンパクが夾雑した状態であったが、95℃の加熱に対しても、凝集や合一を生じず、安定であった。また、大豆種子から調製したオイルボディの膜タンパク質を加水分解し、加熱試験および遠心分離による強制不安定化試験に供した。結果、オイルボディを構成する主要なタンパク質であるオレオシンはほとんど加水分解されていたにも関わらず、いずれのストレス試験においても、油滴の凝集や合一といった不安定化は生じなかった。以上の結果より、オイルボディの物理的な安定性には、膜タンパク質であるオレオシンの機能に加えて、リン脂質や植物ステロールなどから成ると思われる、極性脂質層の機能も関与していることが示唆された。

所属
香川大学 農学部
著者
石井 統也
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 35, 131-133 (2025)

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