22.加熱による野菜のテクスチャー変化に及ぼす金属イオンの影響

2021年度研究助成 (2022年度研究実施)

加熱による野菜の硬さの変化には金属イオンが関与することが知られているものの、内在性および外因性のイオンが野菜の硬さに及ぼす影響を比較した報告はない。そこで本研究では両者が野菜の硬さに及ぼす影響を評価した。沸騰RO水中で1分間予備加熱したダイコン1 cm角をRO水、EDTA、EGTA、CaCl₂またはMgCl2溶液に4℃で20時間浸漬し、その後沸騰RO水中で10分間加熱した。溶液濃度はキレート溶液で1.25×10-3~1.5×10-2 M、塩溶液で0.001~0.5Mとした。全ての濃度のCaCl2溶液浸漬はRO水浸漬とほぼ同じ硬さである一方、MgCl2溶液浸漬は濃度が高いほど軟らかかった。1.5×10-2 M EGTA溶液および全ての濃度のEDTA溶液浸漬は、RO水浸漬と比較して加熱前後のいずれも軟らかかった。SEMにより1.5×10-2 M EGTA溶液浸漬試料は細胞接着が低下しており、EDTA溶液浸漬試料は細胞壁が脆弱化している様子が観察された。1.25×10 -3 M EGTA溶液浸漬試料はRO水浸漬よりも加熱による軟化が抑制され、加熱後も細胞接着が保持されている様子が観察できた。この時カルシウムイオンは約3%除去されていたことから、カルシウムイオンをわずかに取り除くと、加熱による軟化が抑制されることが明らかになった。

所属
お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系
著者
佐藤 瑶子
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 35, 135-139 (2025)