2021年度研究助成 (2022年度研究実施)
一般的に、夜遅くに脂っこい食べ物を食べると太りやすいといわれているが、それは生体内に組み込まれた体内時計が乱れることが要因の一つであると考えられている。しかし、油脂の種類が体内時計や肥満に及ぼす影響とその作用機構の詳細は明らかになっていない。そこで本研究では、異なる油脂を与えた際に、体内時計の乱れやそれに伴う肥満の発症に及ぼす影響とその作用機構の解明を目的とした。高脂肪食として、ラードあるいはアマニ油をそれぞれ30%含有する飼料をマウスに与えた。飼育終了時に、肥満や糖尿病のマーカー、組織における脂質代謝に関わる因子の発現量を評価するとともに、時計遺伝子発現への影響を調べた。その結果、時計遺伝子及び脂質代謝関連因子の精巣上体脂肪中において、肥満抑制に関わる因子X及びXの発現を誘導する因子が、ラード摂取により周期の振幅が低下したが、アマニ油摂取ではその低下は認められなかった。これらの因子の発現誘導に関わっていると示唆されている時計遺伝子の発現量を解析したところ、因子Xと同様にラード摂取で振幅が低下し、アマニ油では変動が認められなかった。本研究において、肥満の誘導に重要な時計遺伝子と脂質代謝関連因子の関係を明らかにすることができた。
- 所属
- 神戸大学大学院 農学研究科
- 著者
- 山下 陽子
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 35, 163-165 (2025)