6.加工用イチゴのへた取り作業の省力化に関する研究 - Ⅵ 加工用イチゴのへた離れ部位の観察

前報で,栽培中にジベレリンと農薬を散布することにより,加工用イチゴ品種'アメリカ'のへた離れ性が促進され,片手収穫により80%のへたなし果率が得られたが,残りの果実にはへたがついていたことを報告した.そこで本報では,へたが離れない原因を明らかにする目的で,へた離れ部位を観察した.

へたが容易に離れる果実では,ずい部とへた直下部との間で,組織および化学成分の顕著な差異が認められた.

片手収穫によりへたが離れなかった果実には,がく片のみのついた果実,へたと小果嫌のついた果実,およびへたつき奇形果の3種類が認められた.第1の種類は,へたと果実の間に発生した空彦により生じると思われた.第2の種類は小果嫌の付着力がへた離れ力よりも小さかった.奇形巣では,上記の組織および化学成分の差異が充分に生じていなかった.

著者
宮崎 正則、美谷 誠一、佐藤 宏、木多 武雄、若狭 勝、奥 正和
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,15,33-41(1983)

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