14.耐熱性ゲルを用いた常温流通向け軟化食品の適正容器検討

酵素を用いることで,軟らかいにもかかわらず形状が保持された食品は振動で崩れやすいため冷凍品として流通されている.我々は既に、このような食品を常温流通するために、耐熱性ゲルを用いて食品を固定する方法を提案した.しかし,20G以上の衝撃が複数回加わると、この食品は崩壊した。食品の崩壊は、容器からのゲルの剥離がきっかけであった。本稿では、容器内面の改良による、容器からのゲルの剥離を防ぐ方法について述べる.
ゲルの剥離抑制について、容器表面の濡れ性向上および突起の付与が容器とゲルの接着力の向上に及ぼす影響を調べた結果、突起の付与によって高い接着力の向上効果が示された。落下試験の結果、突起は線状よりも格子状に配置した方が効果は高く、突起の間隔が500µmから2000µmにおいて高い効果が見られた。輸送試験の結果から、接着力が4N以上となる突起を付与した容器を用いることで、1000kmの輸送中においてゲルは剥離しないと考えられた。

著者
井上 竜一
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 32, 93-98 (2018)

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