本研究では、イチジク果実の香気寄与成分を明らかにし、品種差や加工に伴う変化を明らかにすることを目的としている。生のイチジク果実を用いて香気寄与成分を調査した。トップノートからベースノートまで網羅的に検討するため、大容量静的ヘッドスペース法とSA-SBSE法の2方法で香気成分を抽出した。匂い嗅ぎ分析を実施した結果、計21成分が香気寄与成分として選択された。当該成分は、品種によって含量や匂い強度が異なることが確認され、このうち13成分の同定が完了した。香気成分の季節変動を調査した結果、基部(収穫始期)の果実は爽やかな香りを呈する成分、先端部(収穫終期)の果実は甘くフルーティーな香りを呈する成分が特徴的となることが示唆された。