ワイン容器は「びん」が主流であり、「缶」へ置き換えると、風味が悪くなる場合があると認識されることがあり、清涼飲料水やビールのように缶への置き換えは進んでいない。缶ワインの特許や論文において、硫化水素の発生が示されているが、試験品での評価であり、市販缶ワインにて、硫化水素の検出を報告した論文は無く、未解明な部分が多い。本研究では、大容量ヘッドスペース法GC-MSを用いた缶ワイン分析の検討及び市販の海外缶ワイン(白)のGC-MS分析法による経時変化について報告する。調査した缶ワインにおいて、硫化水素の検出は、購入後冷蔵保管したサンプルのみであった。冷蔵保管サンプルは、経時による変化が少ないと考えられるため、硫化水素の検出は、経時保管の初期段階のみであり、長期保管時のオフフレーバー物質そのものではないと示唆された。調査した缶ワインは、1年以上室温にて長期保管したが、異臭としてのオフフレーバーを感じることは無く、匂いの減衰が感じられた。異臭としての増加物質だけでなく、減少物質の確認も重要であると考え、調査を実施した。
- 著者
- 藤川 卓哉
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 35, 99-103 (2025)