17. 変敗原因菌 Bacillus subtilis 芽胞細胞検出のための食品・飲料へのスパイク試験における芽胞細胞DNAの抽出法

Bacillus属菌やPaenibacillus属菌は、食品の変敗原因菌であり、原材料の選別から食品製造工程全体を通じて、様々な段階を通して混入する。中でも芽胞はその複雑な細胞の形態的特徴により、加熱、薬剤等に抵抗性を有する。本研究では、アルカリ溶解並びに物理的破砕の組み合わせにより芽胞細胞のDNA抽出方法を開発し、効果について検証した。同方法は、食品(固形食品)や飲料(ミルク、コーヒー)へのスパイク試験において、102 CFU/mLまでのB. subtilis芽胞細胞の検出を可能とし、結果として芽胞細胞からのDNAを効率的に抽出することを可能とした。食品や飲料に106および103 CFU/mLの芽胞細胞をスパイクした際のDNA回収率は、ポテトサラダでそれぞれ27%、25%、ホールコーンで38%、36%であった。一方で、小麦粉では、10%、9.8%、ミルクパウダーでは、12%、25%と低かった。同方法は、食品や飲料中における好冷、耐冷性変敗原因菌芽胞の検出において、迅速で特異的、信頼性を提供する方法として、食品や飲料における変敗の判断、食品製造管理におけるリスクコントロールの向上に役立つものと考えられる。

An Improved DNA Extraction Method for Detecting Bacillus subtilis Spores in Spiked Foods and Beverages
https://www.sciencedirect.com/journal/international-journal-of-food-microbiology
doi: 10.1016/j.ijfoodmicro.2023.110280

著者
中野 みよ
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 35, 105-111 (2025)

刊行一覧