果実加工で大量に排出される果皮に含まれるトリテルペノイドには多くの生理活性があり、利用が期待できる。しかし、各トリテルペノイドの構造は類似しており、それぞれ単離精製をするのが困難である。そこで、五環性トリテルペノイドを簡便に単離精製する方法の開発を行った。液体クロマトグラフィー(LC)とC30 カラムを用いて、移動相の検討を行った。一次精製では、移動相として水、メタノール、アセトニトリルを用い、複数の成分の同時精製を行った。二次精製では、移動相として水とアセトニトリルを用い、一次精製物の高純度化を行った。確立した方法で乾燥リンゴ加工残渣から五環性トリテルペノイドを精製した結果、一次精製ではeuscaphic acid、annurcoic acid、pomolic acid を同時に精製できた。さらに、annurcoic acid 画分を二次精製した結果、純度95.7%(HPLC)の高純度品を得られた。精製を繰り返し、乾燥リンゴ加工残渣85.79 g からannurcoic acid が10.15 mg 得られた。確立された手法は、分取LC のみを用いて、簡便に複数の五環性トリテルペノイドを製造できる。したがって、この手法は標品作製の簡便化や素材となる加工残渣の有効利用への貢献が期待できる。
- 著者
- 藪川 啓司, 井圡 良一
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 35, 31-36 (2025)