第7回 研究成果発表会について
(公財)東洋食品研究所は公益財団法人として、独自の研究に加え、食品分野で先駆的、独創的な研究を行う研究者を幅広く助成しています。本年も研究助成採択者の研究成果および当研究所の研究成果を皆様に聞いていただく機会として「研究成果発表会」を開催することと致しました。
本年も、集会とリアルタイム配信を併用したハイブリッド形式により実施いたします。
集会と懇親会 (無料) により、講演者と聴講される方が直接に対話を深めることもできますし、ウェビナーの併用により、遠隔地の方も近郊の方も、より簡単にご参加いただけますので、多数の方のご応募を心よりお待ち申し上げております。
ご参加いただくためには、事前のお申し込みが必要です。
下記のボタンよりお申し込みください。
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対面集会お申込み | ウェビナーお申込み |
開催日
2025年10月10日(金) 10:00-17:15
方 式
下記会場における集会およびオンラインシステムによるリアルタイム映像配信の併用
会 場
千里ライフサイエンスセンタービル5階 山村雄一記念ライフホール
申込期限
対面集会:2025年10月3日(金)まで ・ ウェビナー:2025年10月8日(水)まで
参加料
研究成果発表会への参加、ウェビナーの視聴は無料です。ただし、必要な機材・通信費等はご負担ください。また、現地では発表会終了後、簡単な懇親会を開催いたします (無料)。
研究発表内容
1. 食品変敗菌に特異的に反応する抗体の作製とその応用
河合 総一郎 ((公財)東洋食品研究所) 10:15 ~ 10:40
食品の変敗を引き起こす芽胞形成菌に対し、特異的に反応するモノクローナル抗体を作製した。作製したモノクローナル抗体を利用し、ELISA およびイムノクロマト法による簡便な芽胞形成菌の検出系を構築した。現場での迅速検出に有用であり、食品の品質管理や製造工程の効率化に貢献する。
2. 缶ワインのフレーバー研究
藤川 卓哉 ((公財)東洋食品研究所) 10:40 ~ 11:05
ワインの容器はビンが主流であるが、海外では缶ワインの流通量が増加している。3種類の市販缶ワインに対して、大容量ヘッドスペースガス濃縮法によるGC分析を行い、経時変化する揮発性物質の調査を行った。
3. 日本の伝統食品 "麹" を応用したタンパク質増産技術の開発
真野 潤一((国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門) 11:05~11:30
日本の伝統食品 "麹" を応用し、穀物を原料として短期間で食用タンパク質を生産できる窒素同化固体発酵法を開発した。簡便な発酵処理で穀物のタンパク質を倍増できる本技術は、新しい食品素材の提供につながるだけでなく、世界的なタンパク質需要増加への対応に貢献することが期待される。
4. 低温増殖性乳酸菌の腐敗リスク評価に関する基盤的研究
山木 将悟(北海道大学大学院 水産科学研究院) 11:30~11:55
コールドチェーンの発達に伴い、低温で増殖可能な微生物による食品汚染が問題となっている。特に、乳酸菌は低温で増殖可能なものが多く、増殖制御が困難である。本研究では、低温増殖性乳酸菌を様々な食品から分離し、最も高頻度に分離された Leuconostoc属細菌の増殖特性について調べた。
5. 認知症予防における柑橘類成分ノビレチンの有効性と安全性の解明を目指した基礎研究
中島 晶(弘前大学 農学生命科学部) 13:00~13:25
本研究の目的は、記憶障害改善作用を示す柑橘類果皮由来フラボノイド化合物ノビレチンの脳内ターゲットタンパク質を探索・同定することである。本研究において、ビオチン化ノビレチンプローブを用いたアフィニティー解析により、ノビレチンの脳内ターゲットタンパク質の候補として2つのタンパク質を見出した。
6. マルチバンド分光情報に基づいた昆布だしの抽出操作設計に関する調理科学的アプローチ
橋本 篤(三重大学大学院 生物資源学研究科) 13:25~13:50
昆布だし汁のマルチバンド分光情報に基づいた抽出挙動に関して検討した。その結果、だし汁の特徴はうまみ成分だけでは説明できず、その抽出挙動は抽出用水の硬度のみには依存しないことがわかった。また、マルチバンド分光情報に基づいた官能評価値予測の可能性が示された。
7. 消化性が制御された O/W エマルションブレンドの精密作製技術の開発
梅田 拓洋((国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門) 13:50~14:15
本研究では、異なる組成および界面構造で作製・混合された「食品エマルションブレンド(FEB)」の消化特性を解析し、消化・吸収性を制御可能な新規食品分散系の作製技術の開発を目的とした。FEB の液滴総表面積と遊離脂肪酸放出率には正の相関が認められ、FEB が消化性制御に有効であることが明らかとなった。
8. 突然変異体を利用した地上で結実するラッカセイの開発ならびに効率的なスクリーニング方法の検討
近藤 悠(千葉大学大学院 園芸学研究院) 14:25~14:50
ラッカセイは地上で花を咲かせ、最終的に地下で結実するユニークな特徴を持つが、それゆえに収穫の面などで農作物として不利な一面を持つ。本研究では、地上で結実するラッカセイを育成するために、化学突然変異による変異体の作成と植物ホルモンに対する反応を利用したスクリーニング方法の検討を行う。
9. 光親和性標識法による辛味バニロイドの新たな標的受容体探索
服部 浩之(東北大学大学院 農学研究科) 14:50~15:15
西アフリカの香辛料 Grains of Paradise(GOP)に含まれるバニロイドは抗肥満効果を示す。GOP バニロイドの化学構造は、トウガラシに含まれるカプサイシンと非常に類似している一方で、作用機構は異なる可能性が示唆された。本研究では、光親和性標識法を用いてバニロイドの新たな作用点とその機能を解明することを目的とした。
10. 香辛料が食行動の飽きにくさに与える効果に関する脳波研究
川崎 真弘(筑波大学 システム情報系知能機能工学域) 15:15~15:40
カレーは飽きない。この脳メカニズムの解明を目的とする。香辛料の量を調整したカレーを反復継続して摂取する実験から、カレーに飽きる際の脳波リズムを特定する。次に、毎日同じ種類のカレーを 5 日連続摂取する実験から、この脳波リズムの日々の変化によって香辛料が及ぼす心理的飽きへの影響を脳科学的に明らかにする。
11. 果糖と難消化性デンプンの組合せによる消化管応答制御と糖・脂質代謝改善への展開
島田 昌也(岐阜大学 応用生物科学部) 15:50~16:15
フルクトースやレジスタントスターチの摂取は、糖・脂質代謝に影響を及ぼす消化管ホルモン・グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分泌を増大させうる。ラットへの少量のフルクトースと代表的なレジスタントスターチであるハイアミローススターチ(HAS)の組合せ補充は、血清 GLP-1 濃度を微増させた。一方、多量のフルクトースと HAS の組合せ補充では、血清 GLP-1 濃度を相加的に増加させた。
12. 発酵食品中に含まれるピログルタミルロイシンによる腸内細菌叢改善
白子 紗希(立命館大学 生命科学部(2025 年 3 月まで)) 16:15~16:40
これまでに腸内細菌叢改善効果が示されている発酵食品由来の ピログルタミルロイシン(pEL)の標的組織を明らかにし、その組織中での遺伝子発現変動を精査することを目的とした。本研究より、pEL は回腸に最もよく取り込まれ、回腸において腸内環境の維持に関わる遺伝子の発現の増減が観察された。
13. フェロトーシス抑制効果を示すビタミンK のアルツハイマー病への応用
廣田 佳久(芝浦工業大学 システム理工学部) 16:40~17:05
ビタミンK のフェロトーシス抑制活性評価から、環構造はフェロトーシス抑制タンパク質1(FSP1)の Phe360残基と π-π相互作用し、側鎖構造は長さに依存することが分かった。ビタミンK を単回投与したフェロトーシス関連疾患アルツハイマー病モデルマウスでは、認知機能は改善傾向が認められた。
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公益財団法人 東洋食品研究所 事業推進部
TEL.072-740-3500(9:00~17:00 土・日・祝 休業)
注意事項
本会は、会場での集会と同時にオンラインシステムを利用して配信します。ご視聴いただく方法は、別途メールにてご案内致します。講演の後、アンケートを実施いたしますので、ご感想・ご意見・ご質問等をお寄せください。次回以降に活かしてまいりたいと思います。
なお、本ウェビナーの録画・録音、動画URLの無断共有、チャットの不適切な使用、参加者の情報公開等は固く禁止させていただきます。ご協力のほどを、お願いいたします。